【とんでもなくわかりやすい】父が娘に語る経済の話。 要約

読書

2021年現在、昨年からのコロナの影響で世界経済は大打撃を受けており今後も打撃は続いていくと思われます。そこで経済とは何か?改めて考えてみようと思いこの記事を書きました。私自身、経済についての知識が乏しく苦手なジャンルではありますがこの本を読んで非常に知識を深めることが出来ました。もしよろしければこちらの記事をご覧になってみて改めて今後の経済について、今後の人間社会について思いを馳せて頂ければと思います。
記事の内容は「父が娘に語る美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。」という本の内容を抜粋したものになります。

 

●著者プロフィール
ヤニス・バルファキス著
ギリシャ人アテネ出身経済学者、教授
信用貨幣論を熱く主張

 

●内容、要点
・中央銀行が倒産を防ぐ。どの通貨にも中央銀行は存在する。中央銀行は国家が所有する銀行。中央銀行はどこからともなくパッと出す。中央銀行は、銀行が破綻したら国が返済することを保証した。

・銀行が与えてくれるものが、経済を動かす燃料になる。それが借金である。

・真っ赤なフェラーリを買う理由は、運転を楽しんで目立ちたいからである。

・集団全体が楽観的なら、楽観的な憶測が現実になる。集団全体が悲観的なら、悲観的な憶測が現実になる。

・1929年の世界大恐慌や2008年の金融危機のような、深刻な経済危機が教えてくれることは、銀行の持つ黒魔術の力だけではない。

・不景気の最中に賃金を一律に引き下げても、雇用は増えないどころか逆効果になりかねない。金利の引き下げも同じで、金利を大幅に引き下げなければならないほど景気が悪いのだと受け止められ、起業家は先行きを案じる。

・従業員を雇ったりお金を借りたりすることは、手段であって目的ではない。起業家は、交換価値のあるものを生産するために仕方なく労働力やお金を借りているのである。

・これから格差や貧困や不安がなくなっていくことはなく、ある意味世界はそれとは逆の方向に向かっている。機械は休むことなく働いて、驚くべき製品を大量に作り出しているが、我々の生活は楽にならず、ますますストレスの大きなものになっている。テクノロジーに縛りつけられ、テクノロジーに追いつかなければとますます焦っている。

・人間の英知から生まれたものが、人間に牙わ、剥き、悲劇的な結末をもたらしかねない。フランケンシュタイン博士が死体から作りだした怪物が社会を恐怖に陥れたのと同じように。

・カール=マルクスは作家のメアリー=シェリーの書いたフランケンシュタインに大きな影響を受けたと言われている。

・機械化により、3つの力が価格をコスト以下に押し下げてしまう。それは、「自動化」と「競争」と「需要」である。ロボットは、物を買うことが出来ない。しかし、機械と違って、人を雇えば、人はお金を循環させ、他の製品等を買うことが出来る。したがって、仕事が単純化し、機械化が進み、賃金が下がり過ぎるとある時点で物が売れなくなる。

・もし、社会の仕組みがこれまでと変わらず、機械が生み出す利益を一握りの人達が独占し続けるとすれば、新しい仕事は生まれないだろう。巨大テクノロジー企業の経営陣の夢は、どの企業よりも先に労働者を完全にロボットに置き換えて、利益と力を独占し、ライバル企業の労働者に自分達の製品を売りつけることだ。

・しかし、そんな絶望的な機械化の中で2つの希望がある。1つは、人間性の喪失や労働力の安売りに抗う無限の力が人間にはあるということ。もう1つは、災いと福は常に対になっているという経験的な知識である。機械化による失業者の増加や経済危機によって、少なくとも当分の間人間の労働力は安くなり、生き残った企業は高価な最新型のロボットの代わりに失業者を雇い入れるようになるということ。

・全ての人に恩恵をもたらすような機械の使い方についての一つのアイデアは、企業が所有する機械の一部を全ての人で共有し、その恩恵も共有するというやり方である。利益の一部が自動的に労働者の銀行口座に入るようになれば、需要と売上と価格の悪循環が止まり、人類全体が機械労働の恩恵を受けられる。しかし、機械を所有する権力者達は猛烈にこのアイデアを否定するだろう。彼らを前にして我々はどうするかを考える必要がある。

・公的債務は経済の仕組みを支えるインフラ建設の財源になり、不況の時には回復を刺激し、銀行に最も流動的な資産を与え、全てを結びつけるゴムバンドになる。

・既存の政府や権威に抵抗する存在のため、人々はビットコインに熱狂する。しかし、通貨が国家からも政治的なプロセスからも切り離せて、人々による政府と政策につながるという考えは危険である。

・1929年の金融危機前、政府はマネーサプライを金の保有量に紐付けており、所謂金本位制であった。金本位制はビットコインと同じように通貨と政治の分離を狙ったものであり、イギリスは1931年に金本位制を廃止、アメリカのルーズベルト大統領は1933年に市民の金保有を禁じることで危機は和らいだ。しかし、マネーサプライを管理するようになると通貨は政治と結びつくことになった。

・我々は、人間が生きていける唯一の場所であるこの地球をぐちゃぐちゃにしている。しかし、我々人間は地球を脅かす単なるガンやウイルスではなく、良心を持ち、自己批判と内省が出来る存在である。問題は、その良心や自己批判といった美徳を我々人間が十分に生かせるかである。

・環境破壊を守るために、まだ少し残っている経験価値をひとつ残らず交換価値に変えるという考え方がある。自然の商品化は理論上の話ではなく、政府や企業に支持され実践されている。具体的には、政府は企業に炭素の排出権を与え、その権利を取引出来るようにした。自動車メーカーや電力会社や航空会社など炭素を大量に排出する企業はあまり排出しない企業から排出権を買う。一方、太陽光発電を利用している企業は排出権を売るのである。

・お金から政治を切り離すことは出来ない。マネーサプライの規制と管理を政治から切り離そうとすれば、経済が行き詰まり、危機が起きたときの回復が妨げられるため、唯一の解決策は金融政策の決定過程を民主化することである。

・理性あるまともな社会は、通貨とテクノロジーの管理を民主化するだけでなく、地球の資源と生態系の管理も民主化しなければならない。

・世界の問題を解決するためには、一貫して主張してきたのが全ての「民主化」である。一方、権力者が好きなのは全ての商品化であり世界の問題を解決するには、労働力と土地と機械と環境の「商品化」であり、それを加速し広めることである。

・民主主義は不完全で腐敗しやすい。しかし、それでも人類全体が愚かなウイルスのように行動しないためのただ一つの方策であるのは確かである。それは民主主義は1人に1票の投票権があるのに対し、市場では富の多寡によって持つ票の数が決まりお金持ちであればあるほどその意見が市場で重みを持つ。

・産業革命を可能にした科学の出現により、市場社会が生まれると宗教は一歩後ろに下がることになった。支配者は次に自分達の正当性を裏付けてくれる新しい筋書きが必要になり、そこで彼らは理論や公式を駆使して市場社会が究極の自然秩序だという筋書きを作りだした。このイデオロギー、つまり新しい宗教は「経済学」である。

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