【転職の基礎知識②】山口周さんから学ぶ仕事選びにおける落とし穴とは!?

仕事

自動車メーカーから電池メーカーに転職経験がある私から転職について何かお役立ち出来ないかと思いこの記事を書かせていただきました。
転職を考える上で、「好き」と「得意」を重視する風潮について改めて考えてみたいと思います。
そこで今回は「ニュータイプの時代」の著者山口周さんの記事<仕事を「好き」×「得意」で選ぶのは間違い!?山口周が語る、幸福になるための仕事選び>から、仕事選びにおいて「好き」と「得意」を重視する風潮の落とし穴について考えてみたいと思います!!

 

山口周さん

・何が得意かを判断するのは、難しいどころの話ではなくて不可能である。
・「得意」のレベルが本当に社会に出て優位性を発揮できるだけのポテンシャルを持つものなのかどうかは、誰にも分からない。
・本当に自分が得意と思っている分野でやっていけるのかどうかは全ては、やってみなければ分からない。

 

以下山口周さんの見解を抜粋
●「好き」と「得意」を重視する風潮
・キャリア論においては「好き」と「得意」の重なる領域から仕事を選ぶということが重要視されてきた。
・具体的には、組織開発論の大家エドガー・シャインは、キャリア選択においては、(1)自分は何が得意か?(2)自分は何がやりたいか?(3)社会的意義があると感じるのはどのような活動か?の3点をよく熟慮すべきであると指摘している。マイケル・アーサーというキャリア論の専門家においても、(1)自分ならではの強みはどこにあるか?(2)自分が何かをしたいと思うとき、なぜそれがしたいのか?(3)自分はこれまで誰とつながり、どのような関係を築いてきたか?の3つを重要項目として挙げており、言葉遣いは違うものの、二人とも「好きなこと」と「得意なこと」を仕事選びの重要なポイントに挙げているのである。
・自分の仕事選びにおいて好きなことと得意なことといった観点を意識したことは確かだが、このような問い「念頭に置く」程度に留めるべきで、クソマジメに考えて答えを出しても、あまり意味はないと考える。
・キャリア選択というのはほとんどの場合、未経験の仕事を検討対象に含めて意思決定しなければならず、やったことがないのに何が得意かを判断するのは、難しいどころの話ではなくて不可能である。

 

●経営戦略と仕事選びの同一化とは
・経営戦略において、企業が事業ドメインを選定する際には、「自社の中核的な能力」と「事業のKSF※」に軸足を置く。これは、自社の能力を活かせる事業領域で戦おうという考え方であり、コンサルティングで事業戦略を策定する際も、この2点を軸足に設定するアプローチをとっている。(※KSFとは、Key Success Factorの略。主要成功要因。事業を成功させるための必要条件。)
・このアプローチをキャリア選択の考え方に当てはめると、「何が得意か」という問いを軸足にして職業を選び「自分の得意領域についての理解」に加えて、「その職業が求めるスキルやある職務や役割において優秀な成果を発揮する行動特性についての理解」が必要であることが分かる。経営戦略と仕事選びの同一化である。
・経営戦略と仕事選びの同一化の考え方から、自分は何が得意なのか、という点を深く内省してみれば、いくつかそれらしい答えは見つけられるかも知れないが、「得意」のレベルが本当に社会に出て優位性を発揮できるだけのポテンシャルを持つものなのかどうかは、誰にも分からない。

 

●仕事を得意領域で考えてしまう最大の要因
・多くの人はこれまでの人生経験で得られた数少ない事象から自分の得意領域についてのスキーマ(一般化された知識)を形成するという危険なアプローチを採用しているが、それは家族の影響が大きいのではないかと考えられる。
・新卒時に電通を就職先として選んだが、その選択に大きな影響を与えていたのが、両親、特に母親の自分に対する評価だった。要するに、親の影響が子供の進路を左右するのである。
本当に自分が得意と思っている分野でやっていけるのかどうかということは、実はしばらく経験してみなければよく分からない。勝てるかも知れないし勝てないかも知れない。全ては、やってみなければ分からない、ということである。

 

●感想
得意なものはやってみなければわからないという言葉を聞いて少しホッとした方もいると思います。なぜなら得意なものがなかったり分からなかったりして困っている人にとっては朗報だからです。一方、得意だと思っていたものが働いてみると全然違ったんだと気づくということもあり得るということです。それは、山口さんが述べている得意のレベルが本当に社会に出て優位性を発揮できるだけのポテンシャルを持つものなのかどうかは、誰にも分からず、また得意だと思っているものは親の評価の影響が大きく、サンプル数が非常に少ない可能性があるためです。
そして、好きなものを仕事に出来たら最高だと誰もが思いますが、意外にもあのイチロー選手はプロ野球選手になってから心から楽しんで野球をやっていたわけではないと語っているのを聞いたことがあります。しかしながら、あれだけの大活躍をして偉大な成績を残したのです。これは、好きと得意が揃わなければ活躍出来ないということを完全に否定した事例だと思います。
また、好きなことを仕事にする上で、注意しなければならないことが何点かあることを「科学的な適職」という本で読みました。それは、①好きを仕事にしても幸福度は上がらない、②好きなことを仕事にするのが幸せな人は、どんな仕事も好きになれない、③好きを仕事にするとスキルも伸びないという非常に耳障りの悪い見識が述べられておりました。
では、どういったことを重視して仕事を選べばいいのかということですが、どうやら結局クソマジメに考えて答えを出しても、あまり意味はないということになるようです。答えを追い求めるのではなく、常に考える姿勢を持ち続けることが大切なのではないかと思います。私自身、これからも考え続けていきたいと思います。

 

~山口周さんに学ぶシリーズ~
【転職の基礎知識①】山口周さんから学ぶ終身雇用と年功序列についてに戻る
【転職の基礎知識③】山口周さんから学ぶ転職における攻めと逃げとは!?に進む
【転職の基礎知識④】山口周さんから学ぶ働く上で大切なこととは!?に進む
【転職の基礎知識⑤】山口周さんに学ぶポータブルな人的資本の作り方とは!?に進む

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