いま世界中で話題のSDGsについて解説します!名前は聞いたことあるという方もおられるのではないでしょうか?
日本でも各種メディアが東京オリンピック・パラリンピックの開催に合わせて特集を組んでいたり、企業のCSRや地方自治体の単位での地方創生戦略の中にも頻出するようになってきております。
この記事では、SDGsについてざっくり解説とSDGsについてのトピックについて紹介したいと思います!
●SDGsとは
まず、SDGs とは、人類及び地球の持続可能な開発のために達成すべき課題とその具体的な目標であり、Sustainable Development Goals「持続可能な開発目標」の英語の頭文字と最後のスペルをとったものになります。
では、「持続可能な開発目標」とは、何?ですが、国連が定めた持続可能な開発のための国際目標であり、17のグローバル目標と169のターゲットからなるそうです。2015年からの15 年間、2030 年までに実行、達成すべき事項になります。(wikipedia情報)
その17のグローバル目標は、以下になります。
17のグローバル目標
1.貧困をなくす
2.飢餓をゼロに
3.人々に保健と福祉を
4.質の高い教育をみんなに
5.ジェンダー平等を実現しよう
6.安全な水とトイレを世界中に
7.エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
8.働きがいも経済成長も
9.産業と技術革新の基盤をつくろう
10.人や国の不平等をなくそう
11.住み続けられるまちづくりを
12.つくる責任つかう責任
13.気候変動に具体的な対策を
14.海の豊かさを守ろう
15.陸の豊かさも守ろう
16.平和と公正をすべての人に
17.パートナーシップで目標を達成しよう
169のターゲットについては、ここでは割愛しますが、こちらをご覧下さい。
●発足した経緯
次にこのSDGsが発足した経緯について解説します。
2015年にSDGsが出てきた背景には、SDGsの発足前にさかのぼります。
まず、国連が2000年から2015年までの15年間で世界が達成すべき開発目標として定めた8つのミレニアム開発目標MDGs(Millenium Development Goals)というものがありました。
MDGsとは、後進国における貧困、飢餓、初等教育、伝染病の予防、環境保全が対象でした。こちらについてまずまず、達成出来たため、次の15年の目標として今度は後進国だけでなく、先進国も共通の開発目標としてSDGsが提唱されたという流れになります。
SDGsは上記で述べたように「2015年に突然提唱されて2030年までになんとか達成しなければ!」というぽっと出のものではなく、2000年から続けてきた開発目標の達成に
向けた更新国、先進国共通して努力すべき目標ということになります。
この前提を理解することが大事になります。
●各社メーカーの取り組み
【国内】
トヨタ
トヨタは6つのチャレンジを標榜しております。
「新車CO2ゼロチャレンジ」「工場CO2ゼロチャレンジ」「ライフサイクルCO2ゼロチャレンジ」「水環境インパクト最小化チャレンジ」「循環型社会・システム構築チャレンジ」「人と自然が共生する未来づくりへのチャレンジ」この6つのチャレンジのもと、「CO2ゼロ」と「プラスの社会」を目指した取り組みを推進し、持続可能な社会の実現に貢献していくようです。
パナソニック
「エコ」に徹底して取り組む家電リサイクル工場家電リサイクル工場「パナソニック エコテクノロジーセンター」は、全調達電力で100%再生可能エネルギー由来電力への切り替えを実現するとのことです。
省エネ推進などと併せ、「CO2排出の実質ゼロ」を達成しています。
テレビ、エアコン、冷蔵庫、洗濯機それぞれに専用ラインを整備して、効率的に作業できる環境を実現しております。洗濯機から取り出される高純度のポリプロピレンが再び、家電の原料として使われます。
アスクル
途上国への学用品寄贈や寄付つき商品の販売を実施しております。
同社スタッフが返品されたコピー用紙を使ってノートを手作りし、国際NGOなどを通じて開発途上国の子どもたちへ寄贈する「ノートづくりの会」を実施しており、
2013年以降、毎年100〜1000冊のノートが作成され、贈られています。
NGOの活動に参加する形で、途上国への学用品寄付も実施しており、全国から寄贈されたランドセルに詰めて贈られております。
「社会貢献紙コップ ピンクリボン」は、購入額の3%が乳がん検診の啓発のために寄付されます。
ファーストリテイリング
不要になった商品の回収・再生に加え、製造もエコに配慮しております。
不要になったユニクロのダウン商品を店舗で回収して、再生工場で仕分け・洗浄してダウンを再生し、新しい商品の一部に再利用する「ダウンリサイクル」を実施しております。回収は全ダウン商品が対象です。
サントリー
水を扱うメーカーだからこそ水を守る活動を実施しております。
「工場でくみ上げる地下水より多くの水を生み出す森を育む」をテーマに、2003年から森林整備活動を行っております。
活動先である「天然水の森」は、全国21か所、総面積約1万2000ヘクタールにおよびます。
子どもたちに水の大切さを伝える「水育」を実施して、自然体験プログラムなどを行っています。
水育の活動は海外でも展開し、ベトナムやタイ、インドネシアで出張授業を実施しています。
【海外】
Apple
リサイクルから女性リーダー育成まで幅広い取り組みを実施しております。
2019年4月から全世界へとリサイクルプログラムを拡大し、リサイクル作業ロボットの導入強化などが行われました。
また、9月に発売された新iPadでは、iPadシリーズ史上初めて100%再生アルミニウム筐体が採用されています。
女性開発者への支援を実施しており、また、女性起業家をサポートするアプリ開発プログラムも行われています。
世界各地の拠点で再生可能エネルギー使用を推進しており、米Apple本社は100%再生可能エネルギーで電力を賄います。
Amazon
アマゾンは、世界有数の企業として、独自のESGおよびSDGs活動に取り組んでいます。
たとえば、同社のクラウドサービスであるAmazon Web Services(AWS)は、米国務省などと協力してSDGsに参加する世界16社のスタートアップがAWSを利用して各社の持続可能な開発目標が達成できるよう手助けをするイベントを開催しました。
自社サービスとしては、「アマゾン持続性データイニシアティブ」も提供しており、AWSを使って顧客企業が公共ビッグデータを分析し、これらの企業が持続性イノベーションを創造する役に立っています。
ジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)は、2030年までにアマゾンが発送する商品の半分を、カーボンニュートラル(排出される二酸化炭素と吸収される二酸化炭素が同じ量に抑える、すなわち新たな二酸化炭素の排出は行わない、という概念)にすると宣言しています。
そして、2040年に二酸化炭素排出をゼロにすると公約しました。これは、「気候変動に関するパリ協定」が目指す2050年までのカーボンニュートラル達成より10年も早く、アマゾンが規範を示すことを意味します。
これにより、配送向けに電気自動車(EV)を10万台発注する一方、森林・湿地帯の保全に向けて自然保護団体の活動に1億ドルを投じると表明しました。
●なぜ各社メーカー取り組むのか
①新規市場開拓・事業機会創出の可能性
②事業の持続的成長の確保
③企業価値の向上
大きくこの3つのメリットがあるために、各社メーカーSDGsにこぞって取り組んでおります。
①の新規市場開拓、事業機会創出の可能性については、年間 12 兆ドルにも上るとのことで、大きなビジネスチャンスがあるようです。
②の持続的成長の確保は、SDGsの考え方を組み込むことで、企業の事業そのものの持続可能な成長も実現できるようになるようです。具体的には、電池会社であれば、目標7のエネルギーをみんなにそしてクリーンにの構築が不可欠でしょう。
③の企業価値の向上は、社会課題に取り組む会社として周囲から見られるメリットがあります。投資家からの評価向上、顧客・消費者からのイメージアップ、従業員のモチベーションアップ、優秀な人材を惹きつける採用ブランディングなど、得られるメリットは多岐にわたりそうです。
●SDGsだけでは足りない!?
SDGsの課題として以下3つになります。
1つ目は、「SDGsは大衆のアヘン」斎藤氏は著書『人新世の「資本論」』の中で、SDGsを痛烈に批判しています。
斎藤氏によれば、SDGsが免罪符として機能する消費行動は、資本の側が環境配慮を装って消費者を欺く「SDGsウォッシュ」にいとも簡単に取り込まれてしまうという課題があります。
2つ目は、多くの科学者や研究者が指摘し始めたことですが、経済成長と二酸化炭素の削減・気候変動を止めることは、いま求められているペースでは両立しえないものであることが明らかになりつつあるという事実になります。
斎藤氏によれば、無限の経済成長を追い求める資本主義というシステム自体に今すぐブレーキをかけない限り、気候変動が止まらないとのことです。資本主義が引き起こしている問題を、資本主義という根本原因を温存したままで、解決することはできないという課題です。
3つ目は、「SDGsウォッシュの多発」という課題です。SDGsウォッシュとは、SDGsに取り組んでいるようにみえて、実態が伴っていないビジネスを揶揄する言葉になります。 実際はそうでないにも関わらず、広告などで環境に良いように思いこませる「グリーンウォッシュ」が語源となっています。
例えば、3メガバンク(三菱東京UFJ、みずほ、三井住友)による石炭火力への融資が「SDGsウォッシュ」だと言えるとのことです。
●感想
たとえ一部の企業がSDGsを利用していたとしても何も取り組みをやらないよりはこの取り組みを行うことは大切だと思います。
しかし、これだけでは不十分なことも十分認識しておく必要があると考えます。
SDGsを全否定することはどうかと思いますが、1人1人が、企業が意識を変えていかなければならないでしょう。
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