「右派・左派」あるいは「右翼・左翼」という言葉を聞いたことがあるという人は多いと思います。
しかし、「右派・左派」、「右翼・左翼」について説明できるかと言われればきっと困ってしまう人は多いのではないでしょうか。
本記事では、聞いたことはあるけど説明が難しいこの「右派・左派」、「右翼・左翼」について簡単に解説したいと思います!
(本記事は、『ゆげ塾の速修 戦後史 欧米編』を参考に掲載しております。)
●右翼・左翼の語源
右翼と左翼の語源、名前の由来はフランス革命時の議会における座席の位置が関係しております。
議長から見て右に体制派・王党派(フイヤン派)、左に反体制派・民主派(ジャコバン派)が位置しており、これが現在においても使われている右翼・左翼の名前の由来となっております。
上の図を見てもらうと分かりますように
右翼は、保守・穏健派であり国柄や伝統、慣習を重視する。
左翼は、共和・革新派であり既成の体制や文化を否定する。
という立ち位置となります。
●右翼・左翼をイメージする図
語源はこのようになりますが、右翼・左翼をさらに分かりやすくイメージする図が以下になります。
この上の図のように、ざっくり右翼は”不平等”、左翼は”平等”になります。
先ほどの議会の座席の位置において、右側に座っていたのが、王様の取り巻きである貴族。左側に座っていたのが、貧乏人。真ん中に座っていたのが、商工業者になります。
さらに言うと、右側に座っていたのが、王政・貴族制維持を望む者達。左側に座っていたのが、社会主義を望む者達。真ん中に座っていたのが、資本主義を望む者達になります。
もっと分かりやすく言うと、右側に座っていたのが、とても不平等な世襲制度・封建制度を望む者達。左側に座っていたのが、結果の平等を望む者達。真ん中に座っていたのが、やや不平等な実力主義を望む者達になります。
●専制制度、資本主義、社会主義とは
専制制度は、不平等である。なぜなら、王様の子供が王様となり、貴族の子供が貴族になるからである。日本でいう士農工商である。どんなに賢い百姓であっても、百姓で生まれれば百姓で一生を終える。また逆にバカ殿も存在する。
資本主義は、実力主義の社会である。成り上がって商売で成功し、大金を掴むことが出来る一方、落ちぶれる可能性もある。資本主義は、結果の不平等は容認するが機会の平等、チャンスの公平性を大事にします。
社会主義は、結果の平等を重んじます。パンが10個あって、10人いたら、1人1個ずつ配り、貧富の差は全くありません。すなわち階級はありません。
●立ち位置によって変わる右翼・左翼
いままで説明してきた基準はあくまで資本主義が基準となっておりました。ここで注意しなくてはいけないのが、「右翼・左翼」はあくまで相対的なものということです。
資本主義から見た場合、専制・封建制であるバカ殿陣営は右翼になります。
社会主義から見た場合、資本主義陣営は右翼になります。
●日本は、資本主義であり社会主義でもある
今は大きな戦争もなく、資本主義に戻っている感じになります。
日本を例にすると、江戸時代から明治時代、そして戦後を経て身分制度は大きく縮小してきました。
福沢諭吉は「天は人の上に人を造らず。人の下に人を造らず。」と説きました。すなわち、身分制度を否定し、学問が出来る者が出世すべきだと説いたのです。
戦後、資本主義が進んでいきました。相続税が大きくなり、財産の世襲が難しくなりました。家が豊かだからとウカウカしてられない状態になったのです。また、家が貧しくても奨学金が充実するなど専制・封建制が淘汰されていきました。機会の平等を重んじる資本主義がこうして進んでいったのです。
一方、社会主義も進んでいきました。例えば、社会保険であり、国民皆保険、強制保険制度になります。金持ちは高い保険料を払わなければならず、一方、貧乏人は安い保険料の支払いでよいというものです。また、金持ちも貧乏人も保険証を見せれば等しく医療が受けられます。結果の平等を重んじる社会主義がこうして見られるのです。