日本でもおなじみの仏教、最澄、空海といった人物や浄土宗や浄土真宗といった様々な宗派があることをご存じの方はきっと多いのではないでしょうか。
では、その仏教は元々誰が作ったものなのかご存じでしょうか?
仏教の開祖はゴータマ=シッダールタという1人のインド人になります。時は今から2500年ほど前。
仙人みたいな人物が作ったみたいなイメージがあるかもしれませんが、←私もそう思っておりました。笑 実は、超金持ち一族の跡取り息子、いわゆるスーパーボンボンが作ったものになるのです!
今回はそんなゴータマ=シッダールタと仏教の誕生について簡単にご紹介したいと思います!
●プロフィール
本名 ゴータマ=シッダールタ
別名 釈迦、お釈迦様、仏陀
出世 紀元前565?-紀元前485?
出身 インド北部
仏教の開祖
●仏教の誕生、歴史について
ー2500年前仏教の開祖誕生
今からおよそ2500年前にインド北部でゴータマ=シッダールタ(以下ゴータマ)は誕生する。
インド北部で、有名なお金持ちの一族の生まれ、夏と冬と雨季の時期に過ごす宮殿が3つありそれぞれの拠点に召使いが大勢いるいわゆるスーパーボンボン、超金持ち一族の跡取り息子であった。
しかし、毎日が不自由なく気分上々で暮らしていたわけではなく、「このままでいいのか」と常に何か満たされない日々を過ごしていた。
ある日のこと、宮殿の外を歩いていると明らかに体調が悪そうな病人や自由に動けなくなった老人や死者のそばで泣いている人に立て続けに遭遇する。
これを見てどんなにお金があったとしても、人間は病気や老いや死からは逃れられないことを知り、「お金なんかあってもしょうがない、人生どうしたらいいんだろう」と思い悩むこととなる。
そして、最後に修行をしている人に出会う。この時代のインドの修行者は、色々な場所や色々な人に会って色々な考え方を聞きながら旅をしているいわゆる自分探しの旅をしているような放浪者であった。
この放浪者を見たことで触発されたゴータマは、「病気や老いや死など絶対に逃れられない苦しみがあるかもしれないが、そうした苦しみを乗り越えるための普遍の真理を求め放浪するしかない」と思い立ち出発する。この時、29歳であり妻子もいたが、地位も名誉もお金も妻子も捨てて修行の旅に出ることとなる。
ー自分探しの旅、人生は全て苦しみ
豪邸を飛び出しひたすら毎日瞑想をしたり、外に出て太陽の光を浴びたり、当時の修行のようなものを繰り返す。また、真理に辿り着くかもしれないとあえて物を食べず空腹にして餓死寸前まで断食することもあり、通りの少女にお粥を差し出され一命を取り留めることもあった。
こうした修行を6年間繰り返し続けたが、「苦しいことをやっても苦しいだけ、真理なんて見えてくるわけない」と開き直り、木の下に座って1人で悶々と考え込む。考え込んでから7日目にある考えがふと頭に浮かび始めた。
それは、「人生は全て苦しみなのではないか」というものであった。これが実は現在まで続く仏教の1番基本的な考え方になる。
人間は、生きている限り病気や老いや死から絶対に逃れられないし、欲しいものが全部手に入るわけでもない。愛する人との別れや嫌な人と一緒に仕事をすることもある。人間生きているだけで苦しみが常に付き纏っている、それは人生は全て苦しみだからなのだと悟る。
大変ネガティブな悟りに達したかに思われたが、ゴータマが凄いのはここからであった。
ー煩悩の発見、仏教誕生
「人生は苦しみで満ちているけど、苦しみの原因は全て人間の心の中にある」と考えたのである。
「老いや大切な人との別れといった様々な苦しみを悲しいと感じたのは自分やあなたの心である。そういった悲しいことが起きてしまうのは、この世に生きている以上はしょうがなくどうしようもない。問題はどうにもならないことをいちいち嘆いてしまう人の心の執着心である。」どうにもならないことに拘る人間の心の執着心こそが苦しみの原因であるという悟りに達したのであった。
こうした人の執着心を”煩悩”とゴータマは名付け、この”煩悩”さえ無くせば心が穏やかになって苦しみは無くなるというのである。
「煩悩が無くなって苦しみから解き放たれた状態。これこそが”悟り”である。悟りを開けば皆苦しまなくなり幸せに生きることが出来る。なので、煩悩を無くし悟りを目指そう。」これがゴータマが辿り着いた仏教の基本理念となる。
仏教では煩悩が完全に無くなり悟りに到達すると、その人は仏様になる。この思想を言い出したゴータマは煩悩が無くなり仏様になったと主張するが、元々はただ1人の人間だったということも認めているので他の仏教徒にとっては仏教の開祖であるゴータマも先に悟りを開いた先輩という立ち位置なのである。
他のキリスト教やイスラム教といった多くの宗教は、人間より優れた存在である神様がいてその神様の言うとおりに従う信者達という構図になるのだが、一方仏教の場合は神様はおらず皆で仏様になることを目指すという構図になっているためここが他の多くの宗教と違う仏教のユニークなポイントになる。
ー煩悩を無くす項目
ゴータマは煩悩を無くす項目として、出家し規則正しく平穏に生活する、生き物を殺してはいけない、お酒は飲んではダメ、嘘もついてはダメといった比較的優しい教えを守ることで煩悩を無くすことが出来ると説いている。
餓死寸前まで断食をしたりといった苦しい修行をしたが、ただ苦しいだけで何の意味もないという経験をしたのでそこまで過酷なものはないとされる。これが6年間の修行と7日間の瞑想修行で達した結論である。
ここまでの話では、ただ自分探しに成功した1人の人物のストーリーに他ならない。
しかし、この世の真理に辿り着いたと考えたゴータマは、この真理を他の人達にも伝えなければと手始めに5人の修行者仲間に自分が悟った内容を話してみる。すると、5人の修行者仲間は非常に感銘を受けてゴータマの弟子となる。これに拍車がかかり、真理をもっと広めようと仏教の伝道を始めて会う人会う人に「この世は苦しみである。しかし、煩悩を無くせば幸せに生きられる」という自分の考えを伝えていった。すると、皆感動し、ゴータマの話を聞いた人達はまた他の人達に伝えていくいった形で次々と広がっていく。
こうして、仏教が始まっていくこととなる。
弟子を引き連れながら旅を続けていたゴータマであったが、80歳の時に旅先の食べ物にあたってしまい食中毒でこの世を去ってしまう。
ーお釈迦様の死後、大乗仏教誕生
ゴータマ(以下お釈迦様)の教えを引き継いだ弟子達は十分なほどの成長を遂げていた。お釈迦様が死んでもその教えを胸に弟子達が世界中に仏教を広めていくこととなったのである。
しかし、お釈迦様が亡くなってから100年ほど経つと仏教はかなりちぐはぐで支離滅裂なものになっていく。当時のインドでは尊いことは文字にしてはいけないという風習があり、教えは全て弟子たちが暗記して思い出しながら口頭で伝えられていたため、文字ベースで資料が残っているわけではなく弟子たちの間で又聞きしながら広まっている状態になっていく。そして、勝手に解釈された思い思いの仏教が出来上がっていったのである。
こうしたことにより、仏教界にとって革命的な出来事が起こる。究極に緩い仏教である”大乗仏教”が誕生したのである。大乗とは、みんなが乗れる大きな乗り物という意味で今までの仏教では救えなかった人も取りこぼさず、どんな人でも広く救っていくという思いを表したものである。
大乗仏教の誕生には批判が出たが、大乗仏教は驚きの解釈を発表する。それは、お釈迦様は「出家して規則正しく生活する、煩悩を取り除く規則事項を守って下さい」というのはお釈迦様の付いた嘘であると公表したのである。本当はそんなことしなくても人間はみな救われるのであるという解釈だったのだ。とんでもないこじつけであったが、この緩い仏教である大乗仏教に世間は注目し全世界で大人気となる。
そんな中、厳格にお釈迦様の教えを守る仏教徒はこれを良しとせず両者は互いに相容れなくなり、別々のルートで世界中に広まっていくこととなる。
元々の厳しめの仏教はインドから南に進みミャンマー、タイ、カンボジアなどの東南アジアの国々に伝わっていった。これが上座部仏教(小乗仏教)である。
一方、緩い仏教である大乗仏教はまず中国に渡った。
当時中国は世界的に見てもかなり進んだ国であり、造船技術や製鉄技術は世界トップクラスであった。そんな中国に伝わった大乗仏教は一気に大ブームとなり、エリートの教養的な感じで大乗仏教が持てはやされるようになっていく。
こうして中国で大ブームとなった大乗仏教が1500年ほど前の奈良時代に日本に伝わっていったのである。