今回は前回の『嫌われる勇気』の続編である『幸せになる勇気』についてご紹介したいと思います!『嫌われる勇気』では、「原因論ではなく目的論」「課題の分離」「共同体感覚」についてが大きなテーマでした。アドラー心理学は、とてもシンプルですが実践するのはとても難しいと思います。
では、アドラー心理学をどのように実践すべきか、壁にどう立ち向かうべきかについてのヒントについて解説したいと思います!
●結論
・相手を尊敬することが重要!
・褒めても叱ってもいけない!
・競争原理ではなく、協力原理が重要!
・教育する側は自立を促すことが重要!
・幸せになる勇気とは、他者を愛する勇気である!
●他者との関わりには尊敬が重要!?
アドラーは教育とは、自立をサポートすることだと述べている。そこでベースとなるのは、課題の分離である。なぜなら、相手に自分で解決する能力を身に付けてもらうためである。
そして、どのように相手と関わるかについては”尊敬”が大事であると提言している。ここでアドラーが言う”尊敬”とは、敬うことではなく「その人のありのままを見る」ということであり、相手を尊重するということが大事であるというものである。
相手のありのままを見る方法としては共感があり、他者の関心ごとに関心を寄せることが一番簡単である。子供がゲームをしたり漫画を読んでたりした場合、子供のためを思ってゲームや漫画を没収する行為は、人として相手を尊重していないやり方である。他者の目で見て、他者の耳で聞き、他者の心で感じることが重要なのである。
●賞罰を与えてはダメ!?問題行動の5段階
アドラー心理学では、賞罰は問題を引き起こす要因と捉えている。賞罰を与えると、「褒められるため」とか、「罰を受けないため」といった考えに縛られて目的を無意識に作り上げてしまうというのである。
💀賞罰を与えた時に起こる問題の5段階
①称賛欲求
目的が褒めてもらうことであり、自分でモチベート出来ない。
↓
②注目喚起
褒められなくていいから目立ってやるという思考法になってしまう。問題を起こしてもいいから目立とうとする。
↓
③権力争い
誰にも従わず、大人いわゆる親や教師に対して反発する。力を誇示して注目を集める。
↓
④復讐
権力争いをしても力が及ばないため、愛を求めるが故に憎しみを相手にもたらそうとする。愛でなくても憎しみでもよいため、自分に注目を集めようとする。
↓
⑤無能の証明
注目を集めることが出来ずに諦めてしまう。最初から諦めてしまう。自分は無能だ。自分には出来ないと言い聞かせる。無能を演じてしまう。
こうしたことより、褒める、叱るという賞罰を与える行為は一時的に相手の行動を強要し、一見、上手くいっているように映る。しかし、賞罰行為は他者から褒められなければよい行動をしない人間を量産してしまうのである。
●競争原理ではなく、協力原理が重要!
集団での関わりにおいて、例えば上司が部下に報酬を与えると部下はもっと褒められたいという欲求にかられてしまう。こうした賞罰行為は、他の人たちは競争する上での敵であり、周りの人は自分を陥れようとするという考え方を生み出しかねない。すなわち競争原理が生まれてしまうという。
この競争原理の反対の考え方が協力原理である。協力原理とは、お互いに尊重し合い、助け合い進んでいくという考え方である。大人でも劣等感を持っており、であれば尚更子供は往々にして劣等感を持ち、所属感を求める。そこでアドラーは、「共同体感覚」という集団に所属し、お互いに協力し、成し遂げていくという感覚が重要であると説いている。
●教育する側は自立を促すことが重要!
「共同体感覚」を作る上では、教育する側が支配欲を捨てることが重要であるとアドラーは提言している。例えば、教師が生徒に対して過干渉になっている場合、生徒は自分では何も決めることが出来なくなってしまう。こうした過干渉は、自立に繋がらないとアドラーは説いているのである。
しかし、多くの教育者や親は過干渉は良くないことだと気づいているにも関わらず、過干渉になってしまう。それは、子供が自立することで上下、縦の関係が崩れる恐怖があるからだとアドラーは述べている。つまり、縦の関係を築き子供を支配下に置きたいがために一部の親や教師は過干渉になってしまうという。
子供や部下に対してのアドバイスとして、全ては自分で決定するものと教えることが重要なのである。
●他者を愛する事が大事!
上記では教育する側が自立を促すことが「共同体感覚」を作る上で大切であると述べたが、どんな立場にある人も「他者を愛する事」から始めることが重要であるとアドラーは述べている。その人のありのままを見る、無条件にその人の存在をありのままに受け入れてあげることが重要であるという。そうすることで「共同体感覚」を作ることが出来るからである。
つまり、幸せになるには、他者を愛せば良い、そして、他者を愛するには勇気がいる、よって幸せになるには勇気がいるということになるのである。
この本のタイトルである『幸せになる勇気』とは、幸せになる=勇気を持つということになるのである。