自分自身に対して劣等感、コンプレックスを持っているという人はきっと多くいっらしゃるのではないでしょうか。こうした方に向けて今回は、アドラーの『嫌われる勇気』という本をご紹介したいと思います!この本はコンプレックスや劣等感を持つ人に対して非常にオススメの本になります!是非ご覧になってみて下さい!
●アドラーとは?
名前 アルフレッド・アドラー
出世 1870-1937(67歳没)
出身 オーストリア=ハンガリー帝国
職業 精神科医、心理学者、社会理論家
フロイトやユングと並んで現代のパーソナリティ理論や心理療法を確立した人物。
アドラー心理学(個人心理学)を創始した。
●人の行動は原因ではなく全ては目的である!?
アドラーは、人の行動には原因なんてものは無く、あるのは目的だけであると提唱している。すなわち原因論ではなく目的論である。
多くの人が人間には何か原因があるから行動していると思っている。しかし、アドラーは、「実は我々人間の行動には原因など存在せず、目的があるから行動しているのだ」と言う。
少し、理解しがたいと思われるので具体例として、
”ある会社で若手社員が上司にものすごく怒られているとする。そうした場合、きっと多くの人が若手社員が何か重大なミスをしてしまったのではないかと考えるだろう。”
しかし、アドラーはこれを全力で否定する。アドラーが考える目的論は、その上司が怒っているのは若手社員がミスをしたからではなく、それとは別に「目的」があるからだという。その上司は若手社員が自分に歯向かわないようにしたいとか上限関係を周囲に見せつけたいといった「目的」があると考えるのである。そのような目的があるから上司は怒っているとアドラー心理学では捉える。
一見、根底が覆されてしまうヤバい発想だと思うことだろう。しかしながら、改めてこの状況を考えるとき、若手社員がミスをした時にものすごく怒る上司もいれば、冷静に注意して終わる上司もいるのである。つまり、同じミスでも相手を威嚇したいという上司はものすごく怒るし、一方、今後ミスが起きないように注意喚起を促すような上司は冷静に怒らずに対処するのである。
そして、このアドラーの目的論は原因、例えば暗い過去があったとしてもそれに縛られてはいけないという思考法なのである。
具体例として、両親が離婚しているという原因があるから自分は将来結婚生活が上手くいかないのではないかと考える人がいたとする。アドラーはこういった原因論を激しく否定し、これは結婚生活が上手くいかなかった場合に両親のせいにしようとしているだけだと捉える。アドラーは幸せな結婚生活を過ごしたいのであれば、たった今から自分のパートナーを大切にすればよいのだと説く。
こうした過去や原因に縛られないという生き方は、まさに「今、この瞬間を生きる」アドラーの言う原因論ではなく、目的論で生きることが大切であるということである。
●承認欲求を捨てろ!?
アドラーは、承認欲求を捨てるべきだとしている。それは、承認欲求に支配される人生は、他人の人生を生きることだからである。
承認欲求とは、周りの人から認められたい、好かれたい、尊敬されたいといった欲求であり、人間誰しもが持っており本来的に備わった欲求である。人間は、社会的な生き物であり他の個体と関わることで進化を遂げてきたため、共同体の一員である必要があった。人間はこうした生き方を数万年もの間行ってきており、その遺伝子が現在の我々にも脈々と受け継がれている。つまり、本能的に承認欲求が備わっているのである。
この承認欲求に縛られる生き方とは、例えば周囲に認められたいために有名大学や有名企業に行く、周囲に評価されるためにSNSに情報を公開し「イイね」をもらうといったものである。しかし、この承認欲求を満たすことに縛られた人生、支配された人生とは自分の人生ではなく、他人の人生を生きていることになる。これがアドラー心理学の思想である。
アドラー心理学が提唱するのは、他人の期待に添おうとする生き方ではなく、自分らしさを重視する生き方なのである。つまり、自分らしさや自分にあった幸せの形にフォーカスすることが幸せになるための1つの方法であると提唱しているのである。
●承認欲求を捨てるための「課題の分離」とは?
承認欲求を捨てるには課題の分離という方法がある。この課題の分離とは、自分がコントロール出来る範囲のことは一生懸命行い、コントロール出来ない範囲のことは考えないようにするという方法である。これは自分の課題と他人の課題を分離して考えろという方法である。
具体例として本書では、「馬を水辺に連れて行くことは出来るが、水を飲ませることは出来ない」という表現で課題の分離を説明している。
馬を水辺に連れて行くこと=自分の課題
水をしっかり飲むこと=相手(馬)の課題
こうした水を飲むかどうかは馬の課題、つまり相手の課題であるため、気にしてはいけないというのである。
こうしたアドラーが提唱する「課題の分離」を理解している人は自分の課題だけに全力で取り組むことが出来る。
一方で、周囲にすごいと思われたい、誰かに褒められたいと願って大企業で仕事をしている人がいた場合、誰かに褒められたいというのは相手の課題でありそれをゴールにするのは、アドラー心理学ではNGパターンなのである。
●目指すべき人間関係は「共同体感覚」?
アドラー心理学が提唱する目指すべき人間関係は、共同体感覚というものである。この共同体感覚とは、どんな相手にも上下関係を作ってはいけない、どんな相手とも対等な関係を築くというスタンスである。
こうした共同体感覚の関係を作るために、アドラーは「人を褒めるな」と説いている。なぜなら褒めるという行為は自然と上下の関係を作ってしまうためである。褒める側と褒められる側は上下関係が出来上がってしまっているのである。そうした上下関係を作ることは承認欲求を生み出してしまうのである。
具体的には、会社で成果を出した人への報酬制度や褒めて伸ばす上司は、一見珍しくなく当たり前で良さそうに思える。しかし、これはアドラーから言わせれば、承認欲求の奴隷を量産してしまうのである。
では頑張っている社員や成果を出している社員にはどうすればいいのか。その場合、褒めるのではなく、「ありがとう」と感謝すれば良いとアドラーは説く。なぜなら感謝は上下関係を生まないからである。
●結論
・原因ではなく、人は行動で動く!
・承認欲求を捨てる!これが幸せになるための1つの方法になり得る。そして、承認欲求を捨てるには課題の分離が有効な手法である。
・目指すべくは人を褒めない対等な関係である!
●感想
承認欲求を捨てる、課題の分離、褒めない人間関係という思考法は非常に目からウロコでした。特に私個人としては小さい子供がいまして、子供を褒めて伸ばすのがいいか叱って伸ばすのがいいか日々考えておりましたが、褒めるのではなく感謝することで対等な関係になるというアドラー心理学の発想は驚いたのと同時に自分の思考法の狭さにガッカリしました。褒めるという行為は一見よさそうに思えますが、これには褒める側(上)、褒められる側(下)という上下関係が発生します。なかなか全く褒めないというのも難しいと思いますが、承認欲求を捨てるあるいは承認欲求に縛られない自由な生き方を自分自身が意識することでこうした対等な関係、上下を作らない関係を構築し保ち続けていきたいと思います。